不妊症検査
不妊症とは、「妊娠を希望され1年以上夫婦生活を行っているにもかかわらず妊娠されない場合」と定義されています。
不妊の原因
不妊の原因は多数あります。なぜなら妊娠するには卵巣から卵子を排卵すること、卵管の通り(受精卵の通り道)に問題がないこと、子宮の内膜が厚いこと(着床しやすい)、精子が卵管まで動いていけること、排卵のタイミングで精子と出会うこと(受精)、それらがすべてそろわないと妊娠はできないからです。これらのいずれかまたは複数問題があれば妊娠できません。そのため、患者さんの希望に応じて検査をしていきながら妊娠を目指します。
可能であれば基礎体温表をつけることもお勧めしています。基礎体温とは 排卵をすると低温期から高温期に変化します。ご本人の月経が28日周期の場合、月経の初日の1日目~排卵までの約2週間は低温期で、排卵が起こると、低温期より0.3~0.5℃、基礎体温が上昇する高温期に入ります。高温期は12~14日続きます。毎日測定していただくとご本人の月経サイクルが分かりやすくなりますので測っている場合はご持参ください。
また、男性不妊も原因としてありますので予約制ですが精液検査を行うこともできます。精液検査とは禁欲期間を2-5日取っていただき、精子を容器に入れて当院に持参していただきます。精液量、精子の濃度、正常の精子の割合、運動率を見ます。基準値より低い場合は自然妊娠が困難だと言われており、その場合は体外受精等のステップアップをお勧めしています。
不妊治療
不妊治療の段階として大きく分けると
① 排卵の時期を超音波で確認して行うタイミング療法
② 排卵時期に洗浄濃縮した精子を子宮内に注入する人工授精
③ 排卵前に採卵といって卵子を取ってきて、体外で精子と受精させる体外受精
があります。
通常、この段階を追って治療を進めていくことになります。当院で可能なのは①タイミング療法(排卵誘発剤使用も可)までとなりますので、人工授精や体外受精を希望されている方はご希望の病院へご紹介いたします。
ブライダルチェック
ブライダルチェックとは今後妊娠、出産を考えている女性が行う健康診断で、子宮頸がん検査を含む女性特有の病気や妊娠や出産に影響のある病気にかかっていないかを調べる検診です。
子宮や卵巣の病気がないかを超音波で調べたり、妊娠の障害になるようなホルモンの異常を調べる検査、妊娠に支障が出る性感染症を調べる検査などがあります。
当院ではHPV(ヒトパピローマウイルス)検査・経腟超音波・ホルモン採血(エストラジオール、LH、FSH、プロラクチン、プロゲステロン)・甲状腺機能検査(TSH、FT3、FT4)・感染症検査(B型肝炎、C型肝炎、HIV、梅毒、クラミジア感染症検査)・風疹抗体検査等を行うことができます。調べたい内容に関しては診察の際にご相談ください。
HPV(ヒトパピローマウイルス)は100種類以上ありますが、子宮頸癌の原因ウイルスと言われており、子宮頸癌の患者さんの95%以上にHPVの持続感染があります。性交渉の経験がある女性はなにかしらのHPV感染が起こり、持続感染すると子宮頸がん検査で精密検査が必要になる可能性があるため、HPV検査で現在HPVに感染しているかどうかの検査を行い、もし陽性であれば子宮がん検査を行うことをお勧めします。
エストラジオールは卵巣から分泌される女性ホルモンです。子宮内膜を増殖させ卵胞の成長を促進します。プロゲステロンはエストラジオールによって厚くなった子宮内膜に作用して、受精卵が着床しやすい状態にしたり、妊娠時には、子宮内膜を維持します。体温を上昇させる働きがあり、その変化によって排卵の時期をチェックすることができます。
LHは黄体形成ホルモンで脳の下垂体から分泌され排卵を誘発させる働きがあります。
FSHは卵胞刺激ホルモンで脳の下垂体から分泌され初期の卵胞成長に関与しており、LHより高値のことが多いです。脳から指令を出し卵巣機能を調整しているためこれらのホルモンに異常がないか調べます。
また、プロラクチンは乳汁分泌ホルモンで高値であると排卵障害が起こり不妊症の原因となります。
甲状腺機能は亢進症(バセドウ病)と低下症(橋本病)があります。バセドウ病は動悸、息切れ、汗が多く出たりします。妊娠には流早産、新生児バセドウ病の原因になると言われ注意が必要です。治療としては抗甲状腺薬を内服してコントロールしていきます。橋本病は代謝の低下による疲労感や冷え等の症状が出ます。排卵障害や流早産の原因になると言われています。治療としては甲状腺ホルモン製剤を内服してコントロールしていきます。どちらも妊娠前からコントロールすることが重要となっています。