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RSウイルスワクチンについて

[2025.05.08]

みなさま初めまして。

矢向レディースクリニック医師の武永智と申します。

第1回目のブログとして、最近お問い合わせも多い妊娠中に接種するRSウイルスワクチンについてお話したいと思います。

RSウイルスワクチンは当院ではアブリスボという製品を採用しており、接種対象は妊娠24週~36週の方となっています。

 

RSウイルス感染症とは

RSウイルス感染症は、RSウイルスによる呼吸器の感染症で、小児感染症の主な原因ウイルスです。何度も感染と発病を繰り返しますが、2歳までにほぼすべての児がRSウイルスに1度は感染すると言われています。

毎年12~14万人の2歳未満の子ども達がRSウイルス感染症と診断され、約3万人が入院を必要としています。RSウイルスは、生後間もない赤ちゃんが感染すると重症化する場合が多く、新生児にとってはとても怖い感染症の1つです。

症状としては、発熱・鼻水など軽い風邪症状から重い肺炎まで様々ですが、特に生後6か月以内にRSウイルスに感染した場合には、気管支炎や肺炎など重症化してしまう場合があり、3割程度が入院してしまう病気です。

RSウイルスには、特効薬はなく、症状に対する対症療法が基本の治療となります。RSウイルスワクチンの中には、早産児や先天性心疾患等ハイリスクと言われる赤ちゃんに接種の適応があるワクチンもありますが、正期産で分娩となった赤ちゃんには実質的には予防法がない状態でした。しかしRSウイルス感染症による入院患者には、正期産で分娩となった赤ちゃんも多くいるため問題となっていました。そこでRSウイルスから守る一つの選択肢として、妊婦さんに投与するアブリスボというワクチンが発売されました。

アブリスボ

アブリスボは、妊娠24〜36週の妊婦に接種するRSウイルスに対するワクチンで、母体でできる抗体が胎盤を介してお腹の中の赤ちゃんに移行することで免疫を得るものです。アブリスボを妊娠中に接種することによって、出生時からRSウイルスに対する抗体を持つことができます。体内で抗体が減少する生後6か月程度まで、赤ちゃんをRSウイルスの感染や重症化から守ってくれるという効果をもたらします。適応期間は妊娠24週から可能ですが、分娩時期から間があくと効果が低下してしまうため、妊娠28週〜36週に接種すると最も効果があるとされています。

アブリスボを接種した場合の感染予防効果は生後半年で約5割、重症化予防効果は7割程度とされています。インフルエンザワクチンのような効果と考えていただくとわかりやすいかもしれません。最近の研究では抗体価の上昇は接種して4~5週間程度かかるという報告もあるので妊娠30週から32週頃の接種が良いと考えています。
また、アブリスボを接種したことによる母体および胎児への悪影響は認められていません(お母さんには接種による疼痛等はあります)ので、赤ちゃんを分娩後にRSウイルスから守る方法として注目されています。

まだ公費補助はないため、値段は高額となってしまうのがマイナス点ですが、接種によるメリットは大きいため是非接種することをお勧めします。他院で妊婦健診中の方でも、アブリスボ接種のみにご来院いただいて結構ですので診療時間内でしたらお気軽にお問合せください。ただし、前述のように先天性心疾患がある等、重症化ハイリスクの赤ちゃんは出産後に赤ちゃんに従来のワクチンを接種できますので、そういったケースの方はアブリスボの接種はしない方が良いです。他院で健診中の方は経過がわからないため、事前にかかりつけの医療機関に接種可能か確認いただいた上で予約していただけると幸いです。

 

アブリスボの接種に必要な費用

33000円(初再診料込)

妊婦健診や診察が入った場合には、別途費用が必要です。

 

予約方法

ワクチンの確保のため、接種希望日の1週間前くらいまでにお電話での予約をお願いします。

お電話は診療時間内(平日10時~18時30分・土曜10時~13時)にお願い致します。

予約電話は日曜・祝日は休診のため受け付けておりません。

来院時間

診療時間終了の30分前までに来院をお願いしています。

時間の予約は受け付けておりませんので、予約日のご都合の良い時間にご来院いただいて構いません。

受け付け順にご案内となりますので、状況によっては待ち時間があることをご了承ください。

持ち物

・保険証またはマイナンバーカード

・母子手帳

・当日の体温を計測してきてください

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